子育て中歯科医の雑記帳

30代前半の歯科医師です。2歳ほどの息子の育児中。育児情報・お出かけ・美容ダイエット・歯について。

指しゃぶりは歯並びに悪い?子どものための年齢別の対応

f:id:chocolate_ayaka:20181108234146j:plain

先日わたしのツイッターアカウントにて、指しゃぶりについてのアンケートを取らせていただきました。ご協力くださった方に、感謝致します。

f:id:chocolate_ayaka:20181109000822j:image

卒乳がほぼ完了しているであろう2歳から、大半のお子様が、幼稚園や保育園での集団生活が始まった3歳までのお子様に限局したアンケートです。年齢の幅が広いためあまり参考にならないかもしれませんが、まだまだ指しゃぶりをしている子がいるなと感じました。

 

子どもの指しゃぶりについては医師・臨床心理士歯科医師と、専門領域の違う人により意見もさまざまであると感じます。そのため、乳幼児健診や育児相談の場で、保護者の方が混乱してしまうこともよくある話です。

今回は歯科医師の視点で、他の専門家のかたの意見を踏まえながら、

  • 子どもの指しゃぶりはいつから始まりいつ終わる?
  • 子どもの指しゃぶりは何歳まで見守っていていいの?
  • 指しゃぶりをやめさせるために、具体的にどんな対応・支援ができる?

などのお話をさせていただきます。年齢別の対応のみ知りたいかたは、もくじから飛んでください。

 

 

子どもの指しゃぶりはお腹の中にいるときから

赤ちゃんは母親のお腹の中で、胎児の頃から指しゃぶりを始めます。具体的には胎生24週頃からです。その姿を、「妊婦検診のときに、超音波検査で見ることができた!」というかたもいらっしゃるのではないでしょうか。これは生まれて間もなく、母乳を飲めるようにするための練習としての役割があると考えられています。

 

乳児期(0~1歳) 何でもしゃぶる

乳児期は指のみならず「なんでも口に入れたがる」時期です。髪の毛が1本入ってきてもすぐにわかるほど、口の中の感覚は敏感なので、物の形や味、性状(硬さや温度など)を確かめるために、口に入れると言われています。

運動機能の発達とともにハイハイやつかまり立ちの練習が始まると、これらの動作は指しゃぶりをしているとできないため、徐々に指しゃぶりの頻度が減っていきます

 

幼児期(1~就学前の5歳) 日中の指しゃぶりから徐々に減る

遊ぶことが上手になる時期です。遊びに集中しているときには指しゃぶりがみられなくなり、指しゃぶりのタイミングが甘えたいとき・退屈なとき・眠いときなどに限局していきます。さびしさや不安を感じると、自分の指をしゃぶることによって不安や緊張感を緩和させ、気持ちを落ち着かせるのです。

3歳を過ぎて幼稚園などに通いだし、友達と遊べるようになると、指しゃぶりの頻度は自然に減少していきます。5歳を過ぎるころにはほとんどの子どもが指しゃぶりをしなくなります。しかし、まれに指しゃぶりのクセが残る子どももいます。

 

学童期(6歳~) ほぼ消失

小学校就学後、指しゃぶりをする子はほぼいなくなりますが、ごくまれに指しゃぶりのクセがなくならない子がいます。この時期まで指しゃぶりが続くと、特別な対応をしない限り指しゃぶりが自然に消失することはほぼありません

 

指しゃぶりがもたらす歯並びへの影響は?

f:id:chocolate_ayaka:20181108234738j:plain

歯科医師の視点から考えると、指しゃぶりの問題は、かみ合わせに悪い影響が出やすいことにあります。しゃぶる指やしゃぶり方にもよりますが、考えられるかみ合わせの異常は以下のようなものがあります。

  1. 前歯が前に出る「上顎前突」
  2. 上下の前歯が開く「開咬」
  3. 上下の奥歯が左右にずれる「交叉咬合」

もう少し詳しく説明します。

指しゃぶりをするとまず、歯にかかる外側の力が強くなり、上の前歯が前に出てきます(上顎前突)。これにより上下の前歯が開いてきて(開咬)、前歯で食べ物をかみ切れなくなったり、口唇を閉じられなくなり口呼吸のクセがついたりします。

また、上下の前歯が開いてしまうとその隙間に舌を押し込んだり、飲み込むときに舌で歯を強く押し出すような癖が出やすくなります。このような癖を「舌癖(ぜつへき)」といいます。話をするときに舌を前歯の隙間に入れる舌癖が出ると、サ行、タ行、ナ行、ラ行の発音がはっきりできなくなります。

指しゃぶりのクセが連鎖的にさらなるクセを生じさせて、色々な問題を引き起こしてしまうのです。 そう考えると指しゃぶりは、「影響が出るのは咬み合わせだけ」とは言いにくいものだと感じます。

 

指しゃぶりの年齢別の対応・支援のしかた

指しゃぶりは生理的なものなので3歳頃までは禁止する必要はありません。先ほどお話ししたような、歯並びへの影響が気になるというかたもいらっしゃると思いますが、この時期の指しゃぶりはあくまでも生理的なものですので、厳しく対応する必要はありません。

3歳になっても指しゃぶりをしていたら、「赤ちゃんみたいね」とやさしく注意して、指しゃぶりはいけないのだと意識させていきましょう。指しゃぶりをしていない時に「我慢できてすごいね、えらいね」と、褒めることも効果的です。

4歳過ぎても指しゃぶりをしているときは、どうして指しゃぶりをしているのか、子どもに聞いてみましょう。「指が好きだから」だと答えたら早いうちの改善は難しいかもしれません。根気強く対応する姿勢をもちましょう。

小学校就学後になっても指しゃぶりをしている場合は、自然に指しゃぶりが消失する可能性が低いため、小児科医、小児歯科医および臨床心理士等への積極的な相談が必要です。

 

対応が難しい指しゃぶりは?

f:id:chocolate_ayaka:20181108234203j:plain

特に寝る前の指しゃぶりは入眠儀式化されているため、やめさせるのが難しくなる傾向があります。できる対応としては以下のようなものがあります。

  1. 子どもの生活のリズムを整え、外遊びや運動をさせてエネルギーを十分に発散させる
  2. シール貼りなど、手や指を使う遊びや機会を増やすようにする
  3. 寝つくまでの間、子どもの手を握ったり、絵本を読んだりしてスキンシップを図り、子どもを安心させるようにする

 とはいえ、親の目線で考えると「そうすんなりいきませんよ」と思ってしまい、なかなか難しい気もしますね。とにかく、長期戦だと割り切り、気長に向き合う姿勢が大切だと思います。あまり思いつめることもよくありませんので、考えすぎてノイローゼにならないよう気を付けてください。

 

まとめ 指しゃぶりを叱る必要はない

f:id:chocolate_ayaka:20181108234345j:plain

すごく心配して何度も注意しているのに、一向に指しゃぶりをやめる気配がない。そんなときに、つい強く叱ってしまうこともあると思います。私も1児の母ですので、こういうときについイライラしてしまう気持ちがとてもよくわかります。

例えば、

  • 指しゃぶりをする子供が非常に気になる
  • 一日中頻繁にしている
  • 吸い方が強く、指ダコができている

このような場合、保護者のかたがひとりで悩み、毎日頑張る必要は全くありません。小児科医や小児歯科医、臨床心理士などに相談し、どう対処していけばよいか、一緒に考えてもらいましょう。

 

他にもこんな歯科記事を書いています↓

www.ayaka-dent.xyz

 

当ブログにおける歯科関連記事のありかたについてはこちら↓

www.ayaka-dent.xyz

 

参考サイト

日本小児歯科学会HP(http://www.jspd.or.jp)