久しぶりに母乳育児についての記事です。
今回は「そもそも乳の中身はどうなっている?」という話をさせていただきます。
今までの記事はこちら↓
乳の中身を知ることのメリット
私は「乳詰まり」を過剰に怖がってしまう・不安に感じてしまう原因の1つに、「そもそも乳のことをよくわかっていない」ことが挙げられると思うのです。
私自身、乳が岩のようになったときに「えっ今、私の乳の中はどうなってしまっているの?!」と思いました。本当に不安で、でも何が起こっているのかわからず、ネットの情報に踊らされ、助産師さんの言いなりになるしかありませんでした。しかし助産師さんも人それぞれ。人により、おっしゃることが全然違ったりします。
乳は女性にとってとても身近な臓器なのに、乳について学ぶ機会は乏しいです。乳癌などの乳の病気についても、検診へは行くものの、よく知らないのが現状だと思います。私は歯科医師ですが、大学でも乳についての講義はほぼなかったし、もちろん乳詰まりの話なんて全く知りませんでした…
「乳」という臓器そのもののことをよく知れば、乳詰まりの時、
- なぜ胸が岩のようにかたくなるのか
- なぜ痛みが出るのか
- なぜ放っておくとまずいのか
- なぜ発熱するのか
- そもそもなぜ詰まるのか
などが分かってきます。
するとおのずと、乳詰まりの対処法も見えてくるはず!!
そのような思いで、今回は記事を書かせていただきます。小難しいかもしれませんが、よろしければお付き合いください。
乳房の中身・乳腺(にゅうせん)について
乳房の中には脂肪が詰まっていて、そこに「乳腺(にゅうせん)」という組織が広がっています。
超簡単な模式図なので乳腺の数とか大きさとか他の組織とか全てが適当ですが、乳腺は下図のような感じです。ちゃんと勉強したいというかたは解剖学の教科書とかみてください。全然関係ないけどこの絵、不慣れながらも私がちまちまと書きました。
乳腺の構成要素は大きく分けると2つです。
- 乳汁をつくる「腺房(せんぼう)」
- 乳汁を乳口(乳首にある乳汁の出口)まで運ぶ「乳管(にゅうかん)」
乳腺はホルモンの影響を強く受け、非授乳期と授乳期で様相を大きく変えます。
非授乳期の乳腺は、ほぼ乳管のみで、乳汁を作る腺房が未発達です。
授乳期の乳腺は、乳汁を作る腺房が発達しています。乳管先端のフサフサが腺房です。
妊娠すると、乳管の先から枝が伸びてきて、その枝の先端が膨れて腺房がつくられるのです。出産が近づくと「そろそろ授乳やん」と、腺房が乳汁の産生を始めます。
小休止・乳腺にまつわる専門用語が難しい
専門用語すぎる話ですが、腺房は集まるといろいろと名前が変わります。ここは、果物のブドウでイメージするとわかりやすいです。
- ブドウ1粒が腺房(せんぼう)
- それが集まって1房になったのが乳腺小葉(にゅうせんしょうよう)
- 同じ木に生えているブドウの房たちが腺葉(せんよう)
- ブドウの木が乳管(にゅうかん)
という感じです。片方の乳房に乳管は12~20本と言われていますが、この辺の数字は教科書や参考書によってマチマチです。
乳詰まりについて考える際に覚えておきたいポイントは?
とりあえずポイントは2点です。
- 妊娠すると腺房が発達してくる
- 乳汁は腺房(図中①)で作られて、乳管(図中②)を通って、乳頭に開いている乳口(図中③)から出てくる
これだけ覚えておけば、のちのち乳詰まりへの理解が深まると思います。
※図中の「乳管洞」は乳口付近の、太くなってる部分の乳管のことなのですが、実際にあるとかないとか、文献により情報がマチマチなので、ここではあまり気にしないでください
乳詰まりとはどんな状態なのか?
いわゆる「乳詰まり」というのは「乳汁うっ滞」のことで、何らかの原因で乳汁が乳口から出ていかなくなり、腺房や乳管の中に乳汁が溜まっている状態を言います。授乳期に起こるトラブルの1つで、そのなりやすさには個人差があります。こいつは放置しておくと、
と、症状がどんどんレベルアップしていく可能性があるので、はやめの対処が大切です。
とりあえず今記事はここまでにします。またちまちまと書いていきますので、よろしければお付き合いください。
参考文献
・ぜんぶわかる人体解剖図 坂井建雄他 成実堂出版 2010年3月9日出版
・赤ちゃんとお母さんにやさしい 母乳育児支援 - 日本助産師会のpdfファイル
・助産師さんから個人的にいただいた資料(書籍名謎)
話がずれますが、参考書籍中のこちら、人体の解剖を学ぶ際の入門書として最適です。しかもカラーなのにそれほど高くありません。